カスタムキャスト / まぶらほ

  『カスタムオーダーメイド3D2』のキャラメイクシステムを流用したスマートフォン向けVtuberアプリ『カスタムキャスト』がリリースされ、とりあえず好みの美少女を作ってみる人がタイムラインに増えますと、配信者の手軽に纏ったエロゲ身体が公共空間に氾濫する近い未来を想像し、ぼんやり言い難い気持ちは覚えました。

 身体とはそもそも性的なものである、という大前提に立ち返れば羞恥も何もありませんが、ディープなアダルトコンテンツに発祥する人工身体が文脈ぶった切って全年齢の近接市場に乗り出すことに関して、忸怩を感じない筈もないというユーザー実感は、一応表明しておきたいと思います。

 とはいえ、2016年当時は10万円強のHTC Viveと強いグラボに加えて、連動オナホ搭載*1の『カスタムメイド3D2 with Chu-B Lip』やメイドさんの乳を撫ぜるためのLeap Motionまで購入し 、現状では死ぬほど面倒なVRエロゲ(とお釣りで来た内蔵Vtuber)環境の構築に率先して励んだ結果、「自分の欲望はセックスロボットを待つまでもなくバーチャルセックスで事足りる」という確信に生き急いだ人間としては、人類遅れてるな、ヌルい遊びやってないで早くこっち来いよ、で済ませられるところではあります。

 ただ、倫理の不足したプラットフォーム企業の管理下、技術による身体観念の変容を個体なりに内省する余裕も失われた状況において、利便性やコストパフォーマンスといった工学的価値に美少女表象の意味が回収され尽くしてしまうのであれば、世間以前に自分自身を許し難いので、個人の幽霊的肉欲を成立させている条件やその自己認識に関しては、当ブログにて執拗に掘り続けていく方針です。

 あと、多分総計50人以上のメイドさんを作って一人でやりこんでいるわりに、人の作ったメイドさんとは予想以上に外見の一致を見ない*2、という人間の幻想の個別性の明証、共有と表裏の断絶、交換不可能なファンタズムが無数のシミュラークル(爆)の背後に現出する*3、他者としてのオタ-美少女認識の限界を生きられるがために、自分はカスタム系3Dエロゲが好きなのかなと再確認され、厄介な中年男性Vtuberが増えてくれればなお嬉しいです。

 存在の豊穣に比して解釈が圧倒的に不足しており、美少女表象の背後にある社会的文脈や賭けられた魂のざっくりした共有すら困難である、という問題の深化については今更何も言えない気分で、うっかりキズナアイ氏の件とかも目に入れば、せめて政治的言説では掬いきれない領域があり、それは明瞭な言語化を拒むほどエグい次元に達して久しい、というオタの気持ち悪い切実さの表現ぐらいは、書いたり読んだりしたい気分が続いています。
 
 要するに、夢想を断念して行動の人の実践的な意志を持つことだけが、現実世界に触れる手段というわけではないということなのだ。恋人たちの世界は、政治の世界に劣らず真実なのである。実存の総合性を飲み込んでさえいるのだ。これは政治にはできないことである。そして恋人たちの世界のさまざまな特徴は、実践的活動の断片的でむなしい世界の特徴とは異なる。それらは、隷属的に縮小される以前の人間の生の特徴なのである。この生と同様に恋人たちの世界は、存在したいと貪欲に力強く欲する意志に期待どおりに応えるひとまとまりの偶然から作られる。
 P.23
魔法使いの弟子

魔法使いの弟子

 
 

 私はキャラクターの存在論的な娼婦性を物語の地平で直截に体感できる俗悪な作品が好きなので、主人公の強大な魔力を秘めた精液に美少女が群がるという設定のハーレムラブコメアニメ『まぶらほ』(2003-04)を、秋風につられて先日完走してしまいました。

 2004年頃と言うと、自分はまだ深夜アニメに憧れを抱いていた時期で、VHSで録画した『GIRLSブラボー』の乳揺れ作画をループ再生してオナニーしていた記憶があります。

 ヒロインに好かれる理由が精子しかない主人公が自棄になって魔力を使い果たし、肉体を消失して幽霊になるのですが、なぜか霊体のまま普通に登校して「自分はもうセックスできないので構わないでください」と鬱屈し続ける2クール目が死ぬほど好きで、あと温泉が干上がったところから球場が現れて「温泉回と見せかけた野球回」だった第9話も、原作が天才なのか白根秀樹氏が天才なのかよく分からなかったです。

  「ヒロイン連中の身体に付着した主人公の肉体の灰をかき集めると主人公は蘇生できるが、代わりに記憶を喪失してしまう」という突然霊的な『どろろ』みたいになった難しいコンフリクトの下、幽霊派の中原麻衣氏と肉体派の生天目仁美氏が相争った果てに、なぜか記憶と肉体を両方取り戻した主人公が10人ぐらいに増殖して各ヒロインに割り振られるという結末が素晴らしく、力技でオタ霊肉二元論を突き抜けた名作かと思います。


 美少女表象が所与の文化共同体の精神的統合ではなく、多声的な闘争と矛盾の磁場という様相を強める昨今、諸個人が背負ってしまった歴史性を死守してその最果てに居直るにも大変な労苦が伴われ、人生を終わらせるにはdアニメストアがあれば十分かもしれません。

*1:洗浄が手間なのですぐに手淫に立ち返りましたが、5ちゃんのVRエロ総合スレにおける「等身大ぬいドールの頭部を切り落としてキス用オナホを装着する」等の触覚特化型ダッチワイフの発明は最高と思われ、自分はそんなものばかり面白がっているせいで、この趣味をアングラポルノとして語らざるを得ないようです

*2:『カスタムキャスト』のカスタム自由度が現状低いという事情はあります

*3:生きた貨幣

最近のキャラクター蕩尽

ドリクラ

 発売当時は『ラブプラス』に操を立てて触れなかった『ドリームクラブ』シリーズを一昨年からちょくちょくとプレイしているのですが、飲酒画面で実際に安ウィスキーを舐め遅々と進まず*1、楽曲とモーションと肉感が良すぎてダンス動画ばかり何時間も凝視してしまい、アイリさんを完璧な生物と感じたので今年なぜか発売されたソロアルバムも購入しました。

 ボカロ感強めの寄せ方で、壊れた酔い歌唱をループした後では食い足りませんでしたが、ともかく細々とでも展開が続くと期待は増し、VR対応の新作でバーチャル泥酔するまでは死ねないなと思います。

 VRエロゲで「ご主人様」と呼ばれ過ぎて「お客様」の距離感がかえって心地良く、アイマスシリーズという楽園を相対化するためにも、ドリクラの言い繕いようのない政治的な正しくなさと洗練されたオジン臭い下品な快楽が切実に要求されてしまい、「歌舞と酩酊と娼婦に人生が尽きる」という確信に童貞のまま到達したことに難儀している近頃です。

「凍えた肉球に寄り添う微かなタマタマ」という歌詞がシュルレアリスティックです。(14:10)

 音楽と性的興奮のリズムを同期させるほど極めてはおらず、たまにエロMMD動画を観ても消音して運動イメージだけに集中するタイプなのですが、美月氏フラジャリティにはがっつり参ってダンスは当然、飲酒画面で見つめ合うだけでも射精してしまう自分にへこみ、『キラキラハッピー★ ひらけ!ここたま』が同じう高橋未奈美氏の主演なので、責任を取って観ようと思います。

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 こころさんのように心労で死ななければいいのですが

 アイマス

 最近デレステで喜多日菜子氏に声が付き、最初のSSRを14万円で引いて*2ファン数200万人超まで付き合い続けている身としては、何かオタ文章でも書くべきかなと思ったのですが、画面の中の女の子が可愛すぎることよりも画面の中に入れてしまったオタの生き方こそが大問題であり、あるキャラクター個体への愛着よりは、個体から個体への移行の仕方をこそ記述したいと考えています。

 デレステ初期はCVの付いていないキャラに拘り、「声が無いのに確固たる肉体はある」ことに新鮮なポリゴン美少女体験を求めた人形愛者だったのですが、質量共に狂った視覚像の氾濫するこの時代に、最後の欲望の対象、つまり情報やシステムに還元され尽くされない肉体の唯一性は声の領域に宿ると思われ、人工身体から声優に超越をずらすオタ回路も認識内に並走させています。

www.nicovideo.jp 喜多日菜子氏のような妄想キャラは観念奔逸たる自らの理想自我として全般好きで、『アイドルタイムプリパラ』の夢川ゆい氏*3はもちろん、『我が家のお稲荷さま。』アニメ版の佐倉美咲氏も忘れがたく、あと『緋弾のアリア』白雪さんのキャラソンを未だに聴いてしまいます。

 伊瀬茉莉也氏は『殺戮の天使』が異様に艶っぽくてすげえと思いましたが、高橋美佳子氏は最近飢餓感があります。

 ゆめかわなパジャマ姿の中谷育氏を17.3インチの縦画面で踊らせ見つめ合い続けていると、最悪の形でシリーズの上澄みをすくう罪悪感が著しいので、11年間無視し続けた初代アイマスニコマス文化を勉強すべく、初めてニコニコのプレミアム会員に入りましたが、アイマス楽曲が全部で何百曲あるのか数え切れず聴き切れず、心が折れています。

プリコネ

 対応機種の少ないデレステARをやりたいがためGalaxy S7のジャンク品を買ってしまい、自然ソシャゲを漁った中では『プリンセスコネクト!Re:Dive』が声優ゲーとして継続可能で、『ろこどる』以来ボンクラ魂をそそり続ける伊藤美来氏演じる銀髪キャラ・コッコロちゃんは、舌の上で転がるような名前の響きとお慕い甘やかしノリがたまらず、VRエロゲのせいで想像力の枯渇した中年オタでも妄想オナニーに供し得ることをここに告白しておきます。
 
 『ちおちゃんの通学路』ロス*4大空直美氏の男の娘キャラも沁み、『つぐもも』その他のこまっしゃくれ感と緒方智絵里氏のダダ甘フラジャイルとをなめらかに変転させる奇跡の結節点として、『のうコメ』箱庭ゆらぎ氏の甘い小生意気が今になって価値を増すように感じています。

www.nicovideo.jp 木戸衣吹氏の変わらないチープさは、『おにあい』と『エロマンガ先生』を筆頭に、若い身空にドープなオタの欲望を背負い込ませてしまったことへの贖罪として引き受けたいところがあり、ミリシタでの音痴演技には一周回った凄みも感じます。

 『のうコメ』以来欠乏気味な辻あゆみ氏の金髪ロリにも、『極上生徒会』まで遡る最高のアニメ体験の数々が振り返られ、引き締まった明瞭さと快い粘り気の両立した植田佳奈氏をここまで堪能できるのも、『学園アリス』か『ぺとぺとさん』以来かと思われます。
 
 高森奈津美氏のキャスティングが快活系に偏る傾向に不満感は募りますが、小清水亜美氏と原紗友里氏は気弱系で快楽度数が高く、浅倉杏美氏をベタなエロキャラに振っているのも嫌とは言えず、日高里菜氏も小倉唯氏も結局こってり甘いロリに振るのが正解とも認めてしまえば、洪水のような美少女群で無限に射精可能な状況に生きることをあえて選択してしまったわが行状を糊塗するために、しばらくはバタイユに集中したい気分です。
 
 いずれにせよ、至高なものは、守ることのできないものなのだ。至高なものを守ろうとすると、至高なものを裏切ることになる。だから、人間を価値あるものにしているもの、人間の名誉、人間の尊厳は、アンドレ・ジィドが言うように、犬の餌なのだ。

 私のなかには、至高なものの廃墟しかない。

(P.140「取るか棄てるか」)

ランスの大聖堂 (ちくま学芸文庫)

ランスの大聖堂 (ちくま学芸文庫)

 
 

 もちろん『若おかみは小学生!』を観に行きたいのですが金が無く、『フリクリ プログレ』こそガイナックス的なものに対する苛立ちに駆動され続けた青春に蹴りを付けるために観に行くべきかと迷いますが、『プリンセスメーカー』が難しすぎてどうしても娘を娼婦にしてしまうことの責任を取るために『ぷちぷり*ユーシィ』を見たほうがいい気もしますし、エロメイド服の利便性に落とし前をつけるために『これが私のご主人様』も消化しておきたく思われ、『ウテナ』と『フリクリ』と『トップをねらえ2!』で足踏みするような榎戸洋司ファンへの不信感が『忘却の旋律』を忘れがたい作品にしているとすれば、『少女歌劇レヴュースタァライト』の軽薄さに苛立つのも当然でした。そのあたりを消化してあるがままの今を、徹底した表層性に見える時代を肯定するためにオタ活動は続けたいのですが、しょうもなさに死ぬようなエロス的現実の記述も自らに義務付けたいところです。

 バーチャルセックスに飽きたあとは美少女になって歌って踊るのが最後に残ったオタ享楽の可能性かと思うのですが、『カスタムメイド』シリーズは下半身がどっしりしたエロゲ体型ゆえに母性を託しやすくもダンスが映えず、あとマルドロールちゃんは大画面でデレステをやりすぎて北斗の拳みたいになり、中指の筋肉が引き攣っただけでもやる気がなくなる子なので、おとなしく土方巽でも読みます。

*1:インタラクティブ飲酒システム

*2:直後にスカウトチケットが実装され、ガチャ文化に翻弄される主体の無力さと陶酔の味を初めて知った

*3:諸貧困ゆえ、寝て起きて米ばかり食べている神秘主義者なので、やる気・元気・寝起きなこめかわアイドルの全存在が沁みます

*4:『邪神ちゃんドロップキック』を喪った悲しみも深く、最近アニメの最終回が辛い

ヴァルター・ベンヤミン『陶酔論』

陶酔論

陶酔論

 

 被験者は机の上の壜のかたわらに丸まった紙屑があるのを見て、これを嬉しそうな声で《球たまちゃん》とか《立体鏡みたいな球たまちゃん》とか《立体鏡ちゃん》とか言う。(P.164)

 薬に対する猜疑心がまた強まった。被験者は《こんなもの、薬の効果じゃない》と言い、再度軍隊口調で《静粛に!》と言った。それから再度丸まった紙屑を見て、《おいで、球たまちゃん》と言い、《球たまは丸まる》、《丸まる球たま、まあるく、まんまるく》と言った。(P.165)

 被験者は今では薬の作用をはっきりと認めるようになった。このようなことを言うようになった――《メルク商会は実を上げた》。《僕にはイメージが一杯の演習場がある》。《イメージが一杯のテンペルホーフ飛行場がある》。あるいは《小部屋ちゃんと薬とを足すと、イメージが一杯のテンペルホーフになる》。(P.167)

 紙の上を滑る鉛筆の音が、被験者には《絹の上を滑る音》に聞こえる。《横滑りちゃん》――この語が何度も繰返される。(P.170)

 

 ベンヤミンちゃんかわいい。

 

 ウサミンよりベンヤミン

 

 (ウサミンも、いいよ!)

4Kデレステにハマり続けている話

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 スマートフォン向けゲームをプレイするために初めて自作PCを組む、という変な体験をしたので何か書いておきます。

 アイドルマスターシンデレラガールズスターライトステージという長い名前のスマホゲームはとにかく異様に負荷が高く、3Dリッチモードという演出強化が実装されてからはなおさら、レイヤーを重ねたリズムゲームと3D映像の両方を十全に楽しむために強くてでかいタブレットが必要なのですが、どうも解像度やアスペクト比など込みでしっくり来る機種が見当たらず、こうなればWindowsでエミュを介したMV観賞用環境も通り越し、Android x86を直接ぶちこんだ自作機とタッチパネル液晶で遊ぶ方法に挑むしかない*1、という結論に昨年頃達しました。

 海外輸入の液晶・基盤でケースを設計し、既製品にないサイズの4Kタッチディスプレイを自作している方から、17.3インチの製品*2を「一番おっきくてかっこよいな」と勢いで落札。積層アクリルのモニタキットをおっかなびっくり組み上げましたが、液晶と基盤を繋ぐeDPケーブルの刺し方が分からず壊し、泣きつく羽目に陥ってへこみました。

 モニタの次はPCの準備にかかり、まず液晶との相性問題でRadeonのグラボしか使えないので新調し、BIOSの設定方法とかも調べてなんとか自作機が動きましたが、今度はグラボとAndroid x86の相性問題が生じて画面が映らず*3、何度か交換してようやく動く中古グラボとAndroid x86のバージョンの組み合わせを探し当てたところで、今度はインストーラの問題でブートローダが不調で起動に失敗。

 むしろUbuntuを一旦入れてからデュアルブートにしたほうが楽という情報を信じ、VR用に越した広い木造アパートでエアコンが買えずに凍えながら暗号のようなCLIと格闘して昨冬を過ごし、結局なんで動いたのか自分でも把握できないまま、ようやくプレイできた時には謎の感動がありました。要は迂闊に手を出す遊びではなかったです。

 10万人ぐらいがイベントを走ってるゲームで、この手のことをやっているガチ技術系の方は100人いるのか分かりませんが、確かに4Kまで解像度を上げても映えまくるグラフィックで、緒方智絵里氏と乙倉悠貴氏と藤居朋氏と若林智香氏と遊佐こずえ氏と喜多日菜子氏と望月聖氏と佐城雪美氏とイヴ・サンタクロース氏とライラ氏と原田美世氏と横山千佳氏と綾瀬穂乃香氏と櫻井桃華氏と佐々木千枝氏となんか諸々が可愛すぎて混乱し、意味の分からない快楽度数に呑まれて猿のように毎日やり続け、最近になって突然3周年とか言われてしまい、この3年間自分は何をやっていたのだろうと思いました。

  VRエロゲとあわせて、人間の核心が工学的に処理されてしまうような実感に日々呆然とし、ボンクラなりにも人文知と工学知の両立の困難、みたいな話が最近身に沁みます。

  以下は書き散らしですが、アイマスシリーズ全体で言いますと、自分は世代的には思春期ドンピシャだったニコマスをガン無視してゼノグラシアだけ観ていた厄介筋のアニオタで、今になって動画編集能力の培われなさにへこむと同時、携帯版のタイミングではやはりスルーしたデレマスとミリオンが、肉体と化した途端にドハマリしてしまった信念の抜け落ち方に、自分で失望している近頃です。

 「せめて時代と寝るために」とデレステを始めた当初は『日出処の天子』を読んだ直後で鬱屈が深く、「白痴の女の子がたくさんいて怖いな」と不貞腐れていましたが、ドール趣味を経由したので、それと相通ずる「現前性が高い好きな女の子を着替えさせ見つめているとただそれだけで幸せ」という感覚で、軽蔑していた課金文化をも、他人を観測しさえしなければ腑に落とせたことは大きかったです。

 アイドルマスターミリオンライブシアターデイズというゲームだと、中谷育氏と七尾百合子氏と周防桃子氏と野々原茜氏と箱崎星梨花氏あたりなら何時間でも凝視できるのですが、長く付き合えば付き合うほど義理が深まり、好きになれる個体数もSSRも増え続け、キャラクターへの愛着を作品ごとに断念する憂鬱は解消された一方、ヌルヌル踊る3Dモデルの触覚的実在感とソシャゲの時間性の中で継続的に付き合うのも逆に泥沼で、生活感情は安定しますが言えぬ忸怩も募ります。

 ゲンロン8のゲーム特集の座談会は「10年代の国内オタ文化のある種の貧しさ」という問題を当てこすりでスルーしていた*4のが物足りず、その貧しさの中で自分なりの超越を措定して生きている人間としては、極めて技巧的な女性声優楽曲に乗ってノーツを高速連打する原初的な快楽の只中で入れ代わり立ち代わり踊り狂う数百人の美少女と瞬間ごとに目交い続ける4K60fpsの眩暈に、人間の認識能力を破壊して空虚と表裏の聖性を炸裂させる祝祭的オタ知覚世界のひとつの臨界点を見ざるを得ない体感があります。

 二次創作どころかゲーム内のコミュや周辺テキストも半分無視して意味を排し、キャラクターの肉体とだけ向き合うプレイスタイルが成立するのも安楽で、言い換えますと、他者に対する認識性能の根本的にしょぼい人類が、お互いに人間ではなくキャラクターとしてしか生きられない状況がVtuberで徹底化したとすれば、その悲しさや猥雑さへの抵抗として、幻想の投影と憧憬に踏みとどまる観念論的なキャラクター愛好の純粋性を、自分はアイマスさんから掠め取り続けたいのかもしれません。

 

 ところでPSVRを買ってアイドルマスターシンデレラガールズビューイングレボリューションという更に長い名前のゲームもやりましたが、ステージが遠くて解像度が足りず、別にミクさんのパンツは覗けても嬉しくないし、『閃乱カグラ』や『ぎゃるがん』はSteamでもできるので、『ドリームクラブ』の新作が出ないのであればと、見切りを付けてPS4ごと売り払いました。

 そのあたりの表現レベルに比較すると、目の前で全裸のメイドさんを踊らせたり、メッシュを突き抜けて巨大化したメイドさんに食べられたりできるカスメVRを、なんかオーパーツのように感じます。そのようなVRエロゲでの人工身体との交歓に匹敵する神経興奮作用をそなえたトゥーンレンダ女遊びが4Kデレステしか残っていない、という欲望も込みで導入したので、普通のアイマスファンの方に殴り殺されます。  

 アイドルといえば、声優さんのライブや現実のアイドルさんはすごい勢いで回避し続けているのですが、一度だけ東京ホビーショーか何かでPrizmmyのライブを見たことがあり、女子中学生の剥き出しの長い足が目の前にずらりと並んでいてとてつもなく恐ろしく、腰がぎくっとして目を背けた思い出があります。『プリティーリズム ディアマイフューチャー』は怖いアニメでしたが、『アイドルタイムプリパラ』でみあさんが踊った回はシリーズファン的に死ぬほど感慨深かったです。あとプリティーリズム歴代ヒロインの抱き枕カバーがコミケ販売中止になったそうですが、自分は『ジュエルペットてぃんくる』で身に覚えがある話で、伸縮性の無いスエード生地だったのであまり抱かずに押入れ行きでした。ところが主演の高森奈津美氏はその後『カガクなヤツら』という金子ひらく監督のOVAにて冒頭1分で童顔爆乳キャラの搾乳絶頂声を響かせ、裏名義出演のエロゲは禁欲していた自分は確か10回ほど使用し、事後の脳内には「しっぽのきもち前川みくver.が流れました。

 キャラクターとの生活において、老年の夫婦のように男根がしっぽじみた取るに足らない余計物に感じられるようになる日は、人生のどのあたりで訪れるのでしょうか。

 「ハッピーマテリアル」のイントロを聴くと全身が痙攣する持病が治らず、美少女という快楽物質に神経が冒されきった後にどう生きられるかで悩んでおり、この惨憺たるオタ余生が輝きの向こう側というやつなのでしょうか。 

 VRエロゲと4Kデレステに飽きられない日々の辛さをどう書けばいいのか分からず、万が一Pの方が通りすがりましたら、お目汚し失礼いたしました。

*1:https://halfcoin.blog.fc2.com/blog-entry-27.html

*2:https://halfcoin.blog.fc2.com/blog-entry-60.html、最近HDMI対応基盤に交換してもらいました https://halfcoin.blog.fc2.com/blog-entry-73.html

*3:こういう感じになる https://halfcoin.blog.fc2.com/blog-entry-64.html

*4:今になって『ラブプラス』が「日本の停滞を象徴する作品」(P.60)と足蹴にされており、自分は相半ばする愛憎を振り返ってしんみり来ましたが、長くなる話なので稿を改めます

最近読んだ本(荻原規子、倉橋由美子、笙野頼子)

  ぼんやりアニメ版だけ見てると「ラスボス風だった高柳君が犬になっちゃった!(なんで?)」みたいな感想で終わりがちなRDGですが、自分は三つ編み眼鏡内気巫女さんCV早見沙織氏のヒロインにドンピシャ悶え狂い、同時期の『絶対防衛レヴィアタン』と並走して涎垂らしまくっていたクチで、続けて原作読んだら荻原氏の文章に惚れて『西の善き魔女』や勾玉三部作まで遡った流れでした。

 久々の新作はおまけ短編とスピンオフ中編で、懐かしさが沁みるのと、あと脳内再生しながら『桃華月憚』以来早見沙織氏がものすごく真剣に好きだった頃のことを思い出しました。

 上橋菜穂子氏が有無を言わせぬ文化人類学パワーで殴ってくるのに対し、神道、山伏など日本土着の霊性や歴史要素と学園物のリアリティを、抑制された筆致で危うい綱渡りのように併存させるバランス感覚が不思議な読み味で、ラノベ風のガワから踏み込んでファンタジーの微細な快楽を教えてもらえた本作だったかなと振り返って思います。

 ラノベ読者としては、幼年期にガンダムノベライズやハルヒやシャナやドクロちゃんから普通に入ったあと、いかにもなオタエンタメでは『緋弾のアリア』が吹っ切れすぎた馬鹿なので唯一追い、作家単位では田中哲弥氏、中村九郎氏、清水マリコ氏あたりに趣味が落ち着き、石川博品氏は巧すぎてあまり馴染めず、江波光則氏ぐらい情念が赤剥けているほうが好きかな、とかのろのろ読んでるうちに時代が発狂して拘りが失われ、物語より文体を小説に求めるタイプと自覚された結果、他のジャンルの勉強にシフトした近年です。 

 それこそ「精神の生理から来る文体に対する好悪には理屈を超えたものがあり、人が他人の思想に共感を抱いたり反撥したりすることとこの好悪とはひとつのこと」(「反埴谷雄高」論)という感覚が根強く、なろう小説を掘れる人を尊敬するしかないのですが、ともあれ『聖少女』で衝撃を受けて以来、『反悲劇』までの前期倉橋氏の文章にたまに立ち返ると元気が出ます。

 「生きた、軟かいことばをもって現実のほうへとはいよっていく種類の小説ではなくて、死んだ、超越的なものだけを指向することばによって構成された小説」(P.243)と媾合する快楽だけを糧に籠城する不安に耐えられず、駄文を連ねています。

アマノン国往還記 (新潮文庫)

アマノン国往還記 (新潮文庫)

 

 言語の根腐れた女人国にやってきた宣教師がセックス番組でテレビ宣教、という男根と一神教を重ね合わせた馬鹿ユートピアジョン・ハンフリー・ノイズっぽいですが、前期の反小説と比べた冗長さと毒の抜け方が食い足りず、女人国物でいえば『家畜人ヤプー』のマゾヒズムすら冗談と感じない昨今なので、続けて文藝に一挙掲載された笙野頼子氏の『ウラミズモ奴隷選挙』を読みました。

文芸 2018年 08 月号 [雑誌]

文芸 2018年 08 月号 [雑誌]

 

 同根と思しい憂鬱を抱えながらも「ゼロ年代」的な狂騒には乗り遅れ、「セカイ系」という言葉の軽薄さにも耐えきれず、消え去っていくエロゲ論壇的なものへの妙な憧れも引きずっていましたが、オタ文化の言説だけでは捉えきれない感情が多すぎ、自分の問題を「ネオリベ環境下における自己内他者への極私的信仰」という文脈に置き換えれば、同族/男性/自己嫌悪を慰める意味も込みで、『硝子生命論』や『萌神分魂譜』あたりを筆頭に、笙野氏は熱心に読んでいました。

 とはいえ、脱政治的な読み方でオタとしての自分を無害化しきることもできず、すでにして「中韓にできないポルノやロリ表現にしか日本オタ文化のウリやら核やら誇りやら特異性やらが見出せず、表現の自由/反表現規制問題が性に出発してナショナリズムにも繋がりうる社会運動と化している」*1という悲惨があり、そうした更科修一郎風の指摘を黙殺し続けたオタ文化が、遂に行き着くところまで行ってしまった現実をせめて意識するために、笙野氏の近作も追い続けるしかないと思っています。

 ただ正直、女性国家ウラミズモの男性保護牧場にフォーカスしたこの新作は重すぎ、半日寝込みました。

 ……この翌月、語り手は旧住所旧男性保護牧場で第二代浦知良氏臨場の最終審査を通過し(応募者は本人一名のみ)、男性保護牧場、「表現と射精」部生体研究所の、第二代総括部長として、いわゆる射精部に赴任した。 そして施設が移転した現在でもそこでにっほんから預かったひょうすべの息子たちの「表現の自由」擁護と、「射精という人間本来のもっとも大切な本能」に関し「理解と支援」を与えて国家貢献している(つまり移民の中の出世頭である)。(P.192)

 加えて書類に書く、破損理由、これを見せる。「相手が妊娠しないので腹を殴れず、退屈して首をしめた頭部損傷」、「やりたかったから脚切断」、「頭突き二百回、口応えの罰だぞ、きぬ、枕全体破壊」、「さあ姉妹でエスエムしてみろ、銀鈴、しなければ梅毒の刑だ」、「小学生なんだろ、市川うんこかけさせろ」「おおおお、お母ちゃん死んだねえ、ねえ今どんな気分、一晩殴ってあげる」

 「枕」とは呼ぶものの彩色はしていないが、それは確かに爪の凹凸までリアルな型のある少女の人形である。「これは二代目の浦さんの子ども時代、原寸大です御本人が政権についてから自分で、……」(P.220)

 おんたこ三部作は「生きながらロリコンに葬られ、それでもなおどういうわけか地上を彷徨っている」(中里十氏)人間のためにあると信じますが、オタの快楽主義を保ったまま笙野氏を語るには踏ん切りが付かず、工学的快楽に呑まれた自分を人間と信じられない今に至っては、せめて葛藤してる素振りぐらいは見せたほうが、という程度に何か書いておきたく思いますが。