おしゃべり!おしゃべり!

映像文化を通じた「無目的な生」の証言。21世紀初頭における人間の変容を捉えなおす一助になれば。

ヴァルター・ベンヤミン『陶酔論』

陶酔論

陶酔論

 

 被験者は机の上の壜のかたわらに丸まった紙屑があるのを見て、これを嬉しそうな声で《球たまちゃん》とか《立体鏡みたいな球たまちゃん》とか《立体鏡ちゃん》とか言う。(P.164)

 薬に対する猜疑心がまた強まった。被験者は《こんなもの、薬の効果じゃない》と言い、再度軍隊口調で《静粛に!》と言った。それから再度丸まった紙屑を見て、《おいで、球たまちゃん》と言い、《球たまは丸まる》、《丸まる球たま、まあるく、まんまるく》と言った。(P.165)

 被験者は今では薬の作用をはっきりと認めるようになった。このようなことを言うようになった――《メルク商会は実を上げた》。《僕にはイメージが一杯の演習場がある》。《イメージが一杯のテンペルホーフ飛行場がある》。あるいは《小部屋ちゃんと薬とを足すと、イメージが一杯のテンペルホーフになる》。(P.167)

 紙の上を滑る鉛筆の音が、被験者には《絹の上を滑る音》に聞こえる。《横滑りちゃん》――この語が何度も繰返される。(P.170)

 

 ベンヤミンちゃんかわいい。

 

 ウサミンよりベンヤミン

 

 (ウサミンも、いいよ!)