おしゃべり!おしゃべり!

映像文化を通じた「無目的な生」の証言。21世紀初頭における人間の変容を捉えなおす一助になれば。

同人音声・ASMR・ボイロAV等における視覚と聴覚の(再)結合について

このブログを言文一致で「私」を主語に書いてきた理由は様々あります。第一に、哲学書の翻訳概念が社会的かつ歴史的に負った権威性と思弁性を、現代の主体の問題に軟着陸させるための便宜。第二に、悪趣味にせめてもの責任を負わせる遂行的発話の含意。第三…

雑記(幻覚剤ルネサンス以後のフーリエ主義者の方針について)

このアカウントを作ってから得難い出会いが多々あり、善き触発と欲望の変形を被ってきました。その過程を再構成するべく、今回は緊密に書いてしまうクセをなるべく排し、意識して冗長に日記をつけてみます。千葉雅也ほか『ライティングの哲学』を読んでそう…

青井硝子事件についての個人的総括

本稿は、2020年3月の麻薬及び向精神薬取締法違反による逮捕から始まる、青井硝子氏(@garassan)のアヤワスカ茶裁判に関する個人的総括です。 筆者は2016年10月に青井氏が主催する薬草研究会に参加したのち、アヤワスカアナログを複数回摂取した経験がある、活…

覚え書 - ポップカルチャーの唯物論的無神論に向けて

ジャン・メリエ司祭の『遺言書』あるいは『覚え書』にあやかって*1、長めのメモを残します。 §1 戦いから祈りへ §2 〈統計学的超自我〉再見 §3 怖るべき囚人 §4 力学的崇高の主体 §5 超越論的吐き気そのものを嘔吐すること §6 「日本のポストモダニテ…

『小泉義之政治論集成』メモ

小泉義之氏の論集を読んだので、大きく分けて五つの論点を引きながら、素朴にして反動的な感想を記します。 §1 性差別論について §2 行為タイプと行為トークンについて §3 文化政治について §4 民衆の非政治性について §5 統治の言説について §1 性差…

雑記:政治と文学の峻別について

前回の記事を書いてから神経症的な苛立ちが続いて生活が辛く、新しい記事も二度三度書き直して反故にしたゆえ、今回は雑記のかたちで、弛緩した態度表明のみ済ませます。ご寛恕を請います。 前回の記事は、かつて趣味の共同性において友情を感じていた知人が…

マスターベーションの切迫性に関する生活所感

今年はろくに読書もできないまま茫洋と過ごしているので、息抜きにインターネット生活について少し書かせてください。 表題で示唆した千葉雅也氏による一連のツイート自体は、「フーコーや赤川学氏などの文脈が凝縮したもの」と補足されているのを見て *1 、…

理論への抵抗

モロイ 作者:サミュエル・ベケット 発売日: 2019/05/24 メディア: 単行本 […]要するに私はたいてい闇のなかにいて、世紀のあいだに貯えてきた私の観察も、礼儀作法の土台にいたるまで私を疑わせたので、限られた空間にあってさえ、その闇はなおさら深かった…

7月雑記(政治と恥辱)

最近、加速主義周りの文章を少し読む機会がありました。日本で話題になった18年当時は金が無く鬱だったので、気分には合致したものの、今落ち着くと「Exit」というフレーズ以外に乗れる論点は見当たらず、情報摂取も作品受容も減速著しい傾向にあります。 そ…

バーチャルセックス依存症者が見る『異種族レビュアーズ』

自分は長らく以前から、必要がなければ極力外に出ない在宅仕事一筋の人間で、たまに行く図書館が使えなくなった以外、コロナ以降もほとんど生活が変わっていません。まるで、最初からキャラクターという悪質なウィルスに冒されて、自主隔離でもしていたかの…

雑記:ジェンダー化された「動物化」概念について

社会にとって趣味とは何か:文化社会学の方法規準 (河出ブックス 103) 作者:北田 暁大,解体研 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2017/03/25 メディア: 単行本(ソフトカバー) 「オタク」と呼ばれる社会集団を正確に把握したい気持ちで手に取りましたが…

2010年代のテレビアニメについて

まえおき ’10年代のTVアニメ各年ベストを決めよう - highland's diary Twitterにて@highland氏が「#10年代アニメ各年ベスト10」というハッシュタグ企画をされていました。リツイートをぼんやり眺めて、みんな楽しそうでいいなと思いました。自分も10本選んだ…

10月雑記(寺山、ラカン、天使主義)

若いころ寺山が好きで、東京から恐山まで青春18きっぷで鈍行したのが、初めての一人旅でした。 きっかけは偶然ネットで見た横尾忠則のポスターで、土方巽の舞踏公演のやつだったかもしれませんが、何にせよ寺山・土方・澁澤らの言語感覚と「前衛」の響きに浮…

パンツを脱ぎ続けるいまざき監督 『可愛ければ変態でも好きになってくれますか?』(2019)

「いまざきいつき監督が手がける美少女アニメ」についてですが、そう聞いて真っ先に思い出されるのは『ショーヨノイド真琴ちゃん』(98)です。 恋人とのセックス最中に挿入間際で召集されてノーパン陰部ダダ濡れのまま戦闘員相手に大立ち回りし、女性器丸出し…

8月雑記

ネット右翼とサブカル民主主義 作者: 近藤瑠漫/谷崎晃/桜井春彦 出版社/メーカー: 三一書房 発売日: 2007/09/11 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 123回 この商品を含むブログ (14件) を見る もとよりクリエイターの人間性に幻想は持たない人間で、天野…

7月雑記

ライト・ノベル 作者: 滝本竜彦 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2018/11/29 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 久々にラノベでも読もうかと手に取りましたが、本田透氏で言う「ライトヘビーノベル」みたいな錯綜したオタ概念でした*1。…

上山和樹『「ひきこもり」だった僕から』 オタクとひきこもりのバランスについて

「Gガンダム」と「ターンA」が嫌いなんだ。自分は大好きですけどね。本人が、描いてる絵は80年代のアニメ調そのまんまですね。永野先生の影響が大きいことがよく分かります。……年齢も趣味も自分とかなり近くて、根っこの部分は、ほぼ同じだと思います。なの…

来歴

始めて1年経ちますが、多分このブログとYouTube、現状誰が何をやっているのか全然分からないと思うので、胡乱なインターネット人間であり続けるほうが潔いのは重々、立場を明確にするべく、形而下の来歴も雑に歴史化しておきます。 自分は深夜アニメの本数が…

平成30年度アニメ感想

ぐずぐず観てたら年号が変わっていたので、なんぞ上手いこと言えなければアニメの文章書いても詮無い、という退屈な理性を殺すべく、乱暴にまとめておきます。 時代の狂騒の申し子たる美少女ソシャゲ原作の上に衒いなさすぎるパロディを全面的に展開し、崩壊…

まほらば~Heartful days

木村真一郎監督作品といえば『ちっちゃな雪使いシュガー』(2001)を真っ先に挙げねばとは思いつ、『HAND MAID メイ』(00)、『G-onらいだーす』(02)、『かりん』(05)、『つよきす Cool×Sweet』(06)、『Venus Versus Virus』(07)、『ファイト一発! 充電ちゃん!!…

八潮秘宝館

いってきました かわいかった またいきたいです

人形とキャラクターについて

数年前まで狂っていたドールユーザー体感は上の記事にまとめたことがあり、カスタムドール文化の全体像を概観できる情報が不足していた不満を雑にぶつけたのですが、特にSDが絡むと当事者性を欠いた言語化は避けるべき領域という意識が強く、ジェンダー負荷…

フリクリ オルタナ / プログレ 感想

戦々恐々再生したところ、嫌味抜きで理想的な続編なのでびっくりし、十数年越しのモヤモヤが払拭される稀有な快楽がありました。 「退屈で平凡な日常」とカッコを付けずには表記できない手垢まみれの閉塞感をひたすら野暮く、女子高生のリアリティだけアップ…

露出せよ、と現代文明は言う 〜 欲望会議 「超」ポリコレ宣言

露出せよ、と現代文明は言う: 「心の闇」の喪失と精神分析 作者: 立木康介 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2013/11/21 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (7件) を見る 無意識によってセクシュアリティの構造化された神経症的主体がほとんど失…

11年目のアイドルマスターXENOGLOSSIA

自分は2005年頃からテレビアニメばかり見始め、2014年頃まではわりと快調に走れていたのですが、まさかアニメの総数が06~07年頃の絶頂期を上回るほどに増え続けるとは予期もせず、まして年を取って言語がイメージを縮減し視聴覚文化全般のプリミティブな快…

カスタムキャスト / まぶらほ

『カスタムオーダーメイド3D2』のキャラメイクシステムを流用したスマートフォン向けVtuberアプリ『カスタムキャスト』がリリースされ、とりあえず好みの美少女を作ってみる人がタイムラインに増えますと、配信者の手軽に纏ったエロゲ身体が公共空間に氾濫す…

最近のキャラクター蕩尽

ドリクラ 発売当時は『ラブプラス』に操を立てて触れなかった『ドリームクラブ』シリーズを一昨年からちょくちょくとプレイしているのですが、飲酒画面で実際に安ウィスキーを舐め遅々と進まず*1、楽曲とモーションと肉感が良すぎてダンス動画ばかり何時間も…

ヴァルター・ベンヤミン『陶酔論』

陶酔論 作者: ヴァルターベンヤミン,Walter Benjamin,飯吉光夫 出版社/メーカー: 晶文社 発売日: 1992/04 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (3件) を見る 被験者は机の上の壜のかたわらに丸まった紙屑があるのを見て、これを嬉しそうな声で《球たまち…

4Kデレステにハマり続けている話

スマートフォン向けゲームをプレイするために初めて自作PCを組む、という変な体験をしたので何か書いておきます。 アイドルマスターシンデレラガールズスターライトステージという長い名前のスマホゲームはとにかく異様に負荷が高く、3Dリッチモードという演…

最近読んだ本(荻原規子、倉橋由美子、笙野頼子)

RDG レッドデータガール 氷の靴 ガラスの靴 作者: 荻原規子,酒井駒子 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2017/12/21 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (3件) を見る ぼんやりアニメ版だけ見てると「ラスボス風だった高柳君が犬になっちゃった!(なん…